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    • 2013.04.23 Tuesday
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    日本語のアルファベット表記について その1

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      これは今から10年前に朝日カルチャーセンター日本語教師養成講座を受講した際、日本女子大学の清水康行教授「日本語概論」の講義に出席、そのレポートとして提出したものである。当時私がこの内容のレポートを書きたいと申し出たら、清水教授から「そんなことをしたらあなたの夏休みはなくなってしまいますよ」と言われた。事実その年の夏休みは殆ど国会図書館の冷房で避暑をさせて戴くことになった。

      かなり長いので、少しずつにわけてアップロードする。今回はその序論だけ。
      ご意見ご反論大歓迎である。


      日本語のアルファベット表記


      まえがき 

      私は今「日本語が異論」のレポートを書いている。

      実はこの「日本語が異論」(正しくは「日本語概論」)というとんでもない言葉こそ、私が「日本語のアルファベット表記」と言う(題)で、このレポートを書かなくてはいけないと思った理由の一つである。

      日本語の分掌(文章)は幹事(漢字)、平仮名、方かな(片仮名)の3つの文字群からなる、世界でも珍しい3種混合の表記を用いている。率直に云ってこれは不便で困ったことである。

      「文字の種類の違いが、しばしば語の切れを表す働きを持っているのである。日本語の表記は複雑だから、単一の文字に統一すべきだという声はしばしば聞かれるが、異種の文字体系が混在しているからこその利点もある」という考えもある。しかし、この機能は分かち書きによっても実現できる機能であり、そのような他の方法でも実現できる利点があるからといってより大きな弊害を感受(甘受)するのを是認することには賛成できない。

      現代のPCの普及・情報化時代とともに、この弊害は急拡大している。欧米諸国では文章を書くのに、ただ一度PCのキーをタッチすれば済む。それなのに、日本語の文章をPCで書こうとすれば、キーをタッチするだけでは済まず[1]、最低一度はシフトキーを押して、漢字仮名混じり文章に変換しなくてはならない。これだけでも二度で真(二度手間)なのであるが、その上この「変換」を行うFront End Processor (FEP)というソフトウエアは、大変な努力で改良を重ねられて来たにも拘わらず、完成には程遠い状態であることは、この「まえがき」の今までの文章で数回ご覧になった通りである[2]

      FEPなるものが市場に姿を現してからすでに1/4世紀が過ぎている。それにもかかわらずこのありさま。日本語の音声入力など、あと何年待てば完成品が登場するか、昔の中国人なら「黄河の千年水清きを待つ」と云って笑うかもしれない。

      日本語の現行の表記法は、単に上記のように「不便で困った」といって済まされるものではない。物事の流れが加速度的に速くなり、ドッグ・イヤーなどと言われている現代、日本人だけがこのように手間と時間がかかる上に間違いを起こしやすい文字体系を利用していては、日本人の知的作業の生産性は世界各国に劣後し、やがては世界から見向きもされない国になってしまうのではないか、そのような危機意識から、このレポートを書くことにした。

       何事も変化を嫌う傾向のある日本人が、仮に将来の危機を警告されたとしても、外圧でもない限り、そうやすやすと新しい制度に飛びつくとも思えないが、是非今後とも研究を続け、日本人の幸福につながる表記法を探ってゆくべきではないかと思う。

      尚、本論作成のために下記の参考文献を使用した。

      坂梨隆三・月本雅幸 「日本語の歴史」放送大学教育振興会

      清水康行「日本語表現法」放送大学教育振興会(清水1997

      城生佰太郎「日本語音声科学」 サンエデュケーショナル(城生1998

      城生佰太郎「当節おもしろ言語学」講談社(城生1989

      橋本進吉「国語音韻変化の一傾向」「古代日本語の音韻」岩波書店


      何故日本語アルファベット表記なのか

      わが国に限らず、科学技術、経済効率の発展と、民族古来の文化的価値の保存は矛盾を避けられないことが多い。例えば、ダムの水底に沈む村落や古民家や、工業製品に駆逐される伝統工芸品など、例を挙げればきりがない。文化を採るか経済性を採るかはその民族にとって重要な価値の選択であり、学者や官僚の手にだけ任せるべきでなく、民族としての価値観・哲学・世界観・戦略を総合的に検討して行われるべきものと思われる。ところで、日本の現状を省みると、現在日本で行われている、漢字・片仮名・平仮名の3つの文字群からなる表記法が、21世紀の情報社会に於いて日本民族の知的作業の生産性低下要因となりそうなことは明らかである。ではその一方、この表記法が日本古来の伝統文化の保持に役に立つかと言えば残念ながらそうでもないらしい。つまり現行のシステムは上記いずれの価値観にも役立っていならしいのである。しかし、いまさら新しい文字体系を考えるわけには行かない。21世紀の情報化社会に於いて最も広く使われているアルファベット表記システムにもとづき、日本語に一番適した表記システムを開発して、段階的に(20年はかかるであろうが)新表記法に移行すべき時がきているのではないかとも思われる。

       シロフクロウ


       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       



       


      日本語のアルファベット表記について その2

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        昨日「日本語のアルファベット表記について その1」をアップロードしてから考えた。これはカメラブログというブログのタイトルにはあわないのではないかと。しかし書き始めた以上終わりまで続けるのが良いとの結論に達し、敢えて続けさせていただくことにした。

        お詫びの代わりに、昨日撮影した「テフテフ」という写真を最後にお見せする。


         1.漢字

         

        漢字を廃止すると失うかもしれないもの <イメージング能力>

        日本語がアルファベット表記を採用すると、表語文字である漢字が持つ読者の脳裏に一瞬のうちに与えるイメージの打刻能力(イメージング能力)が失われ、日本語の読解に著しい障害をきたすのではないかと言う意見がある。

         

        たしかにこの面での漢字の持つ優れた表現能力は比類がない。しかし、アルファベットにはイメージング能力が全くないのだろうか。実はアルファベットにもこの能力はある。例えば、多少英文を読んだことのある人なら、uglyと書かれていればいちいち「ユー・ジー・エル・ワイつまりアグリーと読むのだ」などと迂遠なことを考えない。uglyと書かれていれば読者の心には瞬時にして何か「醜いもの」のイメージが刻まれる。

        更に、イメージング能力が極めて乏しいと思われているローマ字による日本語表記でも、慣れればそれなりにイメージング能力があることを、私のサラリーマンとして長年テレックスを使用した体験は実証している。

        従って、漢字のイメージング能力は極めて優れた特質ではあるが、アルファベット表記ではそれが全く失われてしまうと言うものではなく、むしろ慣れによって克服可能なものと考えられる。

        漢字を廃止すると漢字文化圏との相互理解ができなくなる?

        現在一部または全部の表記に漢字を使用している国は、日本、中国、韓国、台湾の4カ国である。この4か国が同じ漢字を共有することは文化的経済的に意味がある。しかし、現在台湾韓国は古来からの漢字を使用し、日本と中国はそれぞれ独自の略字を使用している。略字体の採用に先鞭をつけたのは日本である。中国はそれより遅かったが日本に比べかなり大幅に漢字を簡略化し、お互いに読解するにはかなりの努力が必要である。ある中国通から聞いたことだが、中国が略字の検討を開始するに当たり、漢字文化圏の文字を統一すべく、先ず日本に対し共同作業を提案した。しかし、時の日本政府がその提案を拒否したという。これによって漢字の持っていた漢字文化圏の相互理解という一つの長所は大きく後退した。

        日本に於ける漢字廃止の動き

        漢字には、文字数の膨大さ、習得の難しさなど、宿命的な弱点がある。今から150年前、その弱点を認識した先覚者がいた。幕末時代1866年、前島密は徳川慶喜に「漢字御廃止の議」を建白、漢字を廃止して仮名を用いるべきであると進言したことがその一つ。1873年に福沢諭吉が「文字之教」に於いて漢字は2千から3千で十分であると述べたことがもう一つである。

        しかし問題はその後のわが国の動きである。1900年文部省は小学校令施行規則で教育に用いる漢字1200字を定めた。次いで1923年には臨時国語調査委員会が「常用漢字表」1962字を発表、更に1931年にはそれを1854字に修正したがいずれも実施されなかった。1942年には国語審議会が「標準漢字表」2582字、これは同年2669字に修正されたが、これも実施されなかった。1946年「当用漢字表」1850字が内閣訓令/告示として公布され、1948年「当用漢字別表」により「教育漢字」881字を公布、これはその後1977年に996字、1989年に1006字となり、一番最近では1981年に「常用漢字表」1945字が公布された。いずれも数字合わせとつじつま合わせの玉虫色の作業で、その背景に民族の価値観、世界観、戦略が見えてこない。

        かくして前島密以来実に150年近い時代を無為無策に過ごした日本国は、情報社会に突入し、いよいよそのツケを支払わなくてはならないことになった。

        わが国古来の漢字・仮名文化の伝承

        仮名漢字システムを放棄すると、われらの先祖が築いてきた、仮名漢字によるわが国の文芸作品等の文化の継承が困難になると言う考えもある。たしかに漢字や仮名によって書かれたこれらの文書をアルファベット表記に置き換えれば、作品そのものは維持することが出来るかもしれないが、アルファベットで書かれた万葉集や源氏物語、和歌俳句などはぴんとこない。しかし、日本語をアルファベット表記したとしても、専門家による仮名漢字で書かれた古典作品の研究は学術として大いに奨励すべきであり、欧米におけるギリシャ・ラテン語研究のように、学問の対象として保存すればよいのである。大切なのは、過去のために民族の将来を犠牲にするわけには行かないということである。

        2.仮名

        中途半端な「現代仮名遣い」

        戦前行われていた「歴史的仮名遣い」は、経済的効率などを考えた経済効率優先型ではなく、17世紀の契沖阿闇利以来、本居宣長、石塚龍麿、そして橋本進吉にいたるわが国の学者による、万葉集、古事記以来の音声音韻研究に基づく、いわば伝統文化保存型の論理に裏付けられた表記法であった。然るに、1946年の「現代かなづかい」及び1986年の「現代仮名遣い」は上記二つのいずれでもない玉虫色の鵺(ヌエ)のようなモノであった。表向きは契沖仮名遣いが当時の日本語の発音と乖離しているから、表音式に改めるのだと主張しながら、「は」、「へ」「を」等の助詞を発音通り「わ」「え」「お」には改めず、同じ音声であるにも拘わらず「じ」と「ぢ」、「ず」と「づ」は書き分け、「人生」は「ジンセー」と発音するのに「じんせい」、「大きい」は「おおきい」で「王様」は「おうさま」と仮名を振る、という歴史的仮名遣いの残滓を残している。

        (私が2年ほど働いた日本語教師の仕事を離れた理由の一つは、このように日本人の一部が日本語を大切にしていない、つまり日本語が外国人に堂々と胸を張って教えられるような状況にないことでもあった)

        この「現代仮名遣い」と「常用漢字表」の下、日本ではPCによる漢字かな変換(FEP)が盛んに使用されるようになった。そこでは、ただでさえ欧米人がアルファベットを一回入力すればすむところを、最低一度は仮名漢字に変換しなくてはならないという、ハンディキャップを負った上に、更に例えば「すし詰め」は「つめ」だから”dume”と入力しなくてはいけない、また「にぎり寿司」は「すし」だから”zushi”と入力しなければならない、など一々語源に遡らなくては単語を入力出来ないという厄介が加わった。これでは日本人の知的作業の生産性が甚だしく低下させる危険性が高い。清水1997104ページ以下には『「現代仮名遣い」の原理とは、現代の音韻に従いながら、歴史的な「表記の慣習を尊重」したもの、ということになる。ただし、「慣習の尊重」によって、さまざまな問題点も生じていることは、見てきたとおりである』とある。21世紀に入った現在、この問題点の解決は焦眉の急である。

        無駄なものには害がある <カタカナ>及び<片仮名による外来語表記>

        濁点、半濁点、拗音などを除くと、日本語の平仮名はそれぞれ50弱の文字数で表現できる音声は文字の数だけである。これは仮名が数学的に不合理な音節文字であるがゆえに、表せる音声の数が文字の数を越えられないからである。一方、単音文字である韓国のハングル文字は文字数29で、190の異なる音声を表現することができる。アルファベットも25文字で約100の音声の表現ができる。従って、現行の仮名システムは、これだけの文字数を浪費しながら、東京方言に基づく標準語と関西方言だけがかろうじて表現できるに過ぎないといわれる。(尚、この数字比較は所謂直音のみで、日本語の拗音[1]、韓国語の複合母音やパッチムなどは除外している) その上日本語には平仮名のほかにこれと全く重なる片仮名がある。つまり100文字で50の音声しか表せないのである。「屋上屋」の最たるものである。

        一部で「日本語は国際語たりうるか」といったことが論じられているが、もし本気でそのようなことを考えているなら、その前に少なくともこの2種の仮名文字のredundancy(余分な重複)を解消しなくてはならないだろう。

        外国人の日本語学習にとって漢字・仮名システムがハードルとなっていることはさておき、外来語の片仮名(古くは漢字、例えば伯林 倫敦のような)表記は日本人の外国語習得にも無駄な負担を強いてきた。

        例えば日本では「毛沢東」のことを「モウタクトウ」と呼ぶ。日本人同士ならこれでよい。しかし、外国人と話すときに「モウタクトウ」では全く通じない。やはり”Mao-tse-dong”など原語の発音を模した言い方をしなくてはならない。つまり、日本人は漢字・仮名システムを持つお陰で中国の地名人名について二通りの発音を覚えなくてはならない。大変なエネルギーの浪費である。

        中国語だけではない。およそカタカナで表記されている外来語は外国語を勉強する日本人、日本語を学ぶ外国人双方に障害となっている。カタカナ英語を覚えたばかりに外国の飲食店で「コーヒー」を注文しても欲しい飲み物にありつけない日本人、「パソコン」と言ってもわかってはもらえない日本人、フランス人に「エアコン」などと言えば顰蹙を買ってしまうなど・・笑えない笑い話は枚挙に暇がない。片仮名英語を覚えた生徒は外国語の発音がなかなか上達しないと嘆く英語教師もいれば、一方日本語に堪能なアグネス・チャンですらカタカナだけは困るという。

        ではどうすればよいのか。

        日本語が現行の漢字平仮名片仮名体系を廃止し、アルファベット表記システムに移行した場合なら、外来語を原則として原語の通り表記できる。もし原語がローマンアルファベットを使用しないアラビア文字、中国語、韓国語、ロシア語などの場合は英米などで広く使われているローマンアルファベットつづりを用いればよい。

        「ギョエテとは俺の事かとゲーテ言い」

        ゲーテはドイツ語の通り”Goethe”と書き、学校では正しく[ɡø:ƚǝ]と読み方を教えればよいのである。

        外来語、特にAnglo Saxon起源の外来語の流入に極端に警戒的なフランスですら、自国語に「週末」を意味するfin de semaineと言う語がありながら、英語の”weekend”を、綴りも改めずそのまま採用していることも参考になろう。

         「テフテフ」



        [1] 韓国語には日本語の拗音相当の4個の母音があるそうなので、これを除くとハングルは25の字母で114個の直音を表現できることとなる。


        シロフクロウ


        日本語のアルファベット表記について その3

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          3.情報化時代・ボーダレス時代と現行の日本語表記法

          日本人の知的生産性の向上

           この傾向は、タイプライター時代にもあった。秘書に口述筆記させて文書を作成する欧米人に比べ、手書き和文タイプライターによるわが国の仮名漢字システムによる文書作成の能率は極めて低く、われわれ海外との業務に従事する者は彼我の懸隔に切歯扼腕したこと、レーダーを持たずに米国の艦船と戦った旧帝国海軍軍人に似たところがあった。しかし、この傾向はコンピューター時代となってますます顕著になった。欧米人は今や経営幹部自らがPCに向かい、出張先の機内からでも社内外と直接情報のやり取りを行っている。一方日本では相変わらずこのような仕事はボトムアップに任されているケースが多い[1]。これはFEPを使う日本語の書類作成が欧米のアルファベットに比べ手間がかかるためだ。

          簡単な話、漢字・仮名システムを処理するにはアルファベットの倍のビット数を必要とする。このことはコンピューターにかかる負荷が2倍になることを意味する。相手が50メートルしか泳がないのに自分はその間に100メートル泳げと言われたら北島康介選手でも金メダルはとれない。つまりこのままでは日本の知的作業の労働生産性が高くなるわけがない。「大和魂」だけでは戦争には勝てないのである。 

          またFEPによる仮名漢字変換も多大のコストをかけて改良を重ねているようだが、完璧には程遠く、ゆえに日本人の生産性を著しく阻害している。「なになにをし度い」と書くつもりが「なになにを死体」になってしまった、などと言うのは序の口で、この出来そこないのFEPの間違い探しに浪費される日本民族の貴重な時間を、創造的な仕事に宛てることができたら、日本人のノーベル賞受賞者はもっとふえるかもしれない。

          日本が経済的繁栄を謳歌していた20世紀後半のある時期においても、日本の企業の製造部門の生産性は世界一だが、事務部門つまりホワイトカラーの部門の生産性は欧米と比べはるかに劣ると言われていた。日本語の表記システムにもその責任の一半がある。

          システム移行に要するコスト

          長年仮名漢字を用いて記録されてきた膨大な文書の書き換えその他に要するコストは、数年前の2千年問題とは比較にならないものであろう。しかし、これは一時的なコストであり、一旦そのコストを支払えば、後はアルファベット表記による大幅な時間的経済的コスト削減を未来永劫にエンジョイできるのである。

          アルファベットの豊かな音声表現力

          表記法として経済性の低く、原則として文字の数しか音節を表現できないという仮名が宿命的に背負ってきた音声表現力の乏しさ。「仮名50音」はその象徴、まさに「音声の牢獄」であった。牢獄に無辜にして長年幽閉されていた囚人の一人が「は行子音の濁音、半濁音」との冤罪の烙印を押されたP音とB音であった。P音は有声音B音に対立する無声音であって断じてH音と同じ独房に監禁されるべきではない。K音とG音、T音とD音との関係とは事情が異なる。この点上田萬年は夙に「P音考」の中で、「ハヒフヘホの濁音はバビブベボであるが、バビブベボに対する清音は音の性質から見ればパピプペポであるべきであって、半濁音といふのは世人をまどはすものである」と慨嘆している。(橋本進吉「国語音韻変化の一傾向」岩波書店)

          日本語がアルファベット表記を全面的に採用した場合、音声表現力が豊かになり、上記PB音がH音とゴタマゼにされる不当な現象がなくなるだけでなく、私の試算では、約20の字母と英独仏語のキーボード上で使用可能なdiacritcs(ドイツ語のウムラウトやフランス語のアクサン記号のようなものの総称)のみで、日本語の東京方言(標準語)、関西方言、主要方言の音声のかなりの部分は表記可能ではないかと思われる。

          日本語のアルファベット表記は従来のローマ字表記とは違う

          本レポートで云う「日本語のアルファベット表記」とは、従来の「ローマ字表記」と見た目は似ているが、原理的には全く異なることをはっきりさせておく必要がある。

          「ローマ字表記」は仮名50音をただアルファベットに置き換えただけのもの、その原理は上記音声の牢獄の掟である。私の云う「日本語のアルファベット表記」とは「日本語の音声音韻から直接導き出された、拉致監禁のない自由な表記」を目指している。

          日本語アルファベット表記案の作成基準

          日本語アルファベット表記案を作成するに当たり次の基準を用いた。

          音声については城生19982章、第3章記載の日本語で現在使用されている母音子音を全て網羅した。

          外来語を表す字母は特に設けなかった。なぜなら外来語はその原語又は諸外国で一般に通用しているローマンアルファベット綴りで表記するのが一番便利だからである。その場合城生1998に記載されている子音の一部については、それらが主として外来語の片仮名表記に使われている(外来語以外は劇画であり、劇画のようなものは正規の表記法によらず作者の直感で独特の表記を行った方が読者の印象が鮮烈ではないか?)ので、ここでわざわざ表記法を定めなくてもよいとも思われる。

          字母の数は英独仏語のキーボードを念頭に置いた。全世界で広く使用されている規格品のキーボードを使用する経済メリットを重視したからである。

          そ祥茲離蹇璽淹表記で用いられてきた長母音の文字の上部の横線は、英独仏のキーボードにはない。そこでフランス語のaccent circonflexeȋȇȃȏȗと同じdiacriticを用いる案と、母音字を二つ重ね書きする案を考えた。世界で一番普及している英語対応のキーボードの使用を考えれば母音字の重ね書きの方が優れている。しかし長母音に母音字の重ね書きを割り振ると、随意は”Zui-i”委員は”I-in”等と長母音ではないが、同じ母音が重なる場合の音節示す記号が必要になることから、accent circonflexeを採用することとした。尚、キリシタン時代のポルトガル人による日本語表記では長母音にはĕなどが使われていたようである。

          ソ祥茲離ナという音節文字を廃して、アルファベットという単音文字を採用することによって得られた、音声表現力の余裕を、日本の優れた文化の華とも言うべき諸地方の方言の音声の表記に宛てたいと考えた。私の方言知識は極めて貧弱なので、具体案は殆ど示せなかったが、将来方言の音声を表せるように、Umlaut記号などを留保しておきたい。実はこれも、本来経済的には最も有利な英語対応キーボードに私が固執しなかったもう一つの理由である。またどうせ独仏文キーボードを使用するなら、Umlaut以外にフランス語のaccent aiguéaccent graveèを例えば前者を東京方言のアクセントの、後者を関西方言のアクセントの記述に割り当てるなど、同音異義語の意味判別の一助にできないかとも思う。これも今後の研究課題である。 

          ”u”の表記は諸外国では後舌、円唇、狭母音の表記として使われているが、日本語では沖縄西日本地域以外の「ウ」は中舌よりの後舌、非円唇・狭・半狭母音であり、更に東京方言などでは無声化が行われているために、従来のローマ字表記を読んだ外国人が必要以上に強い発音をしてしまう傾向があった。沖縄西日本の「ウ」には”u”を用いて差し支えないが、それ以外の地域については原則母音表記を省くことにした。例えば”Report o kak”(レポートを書く)である。しかし、表記を省くと意味をなさないか、または意味が変わってしまうような場合、二重母音、長母音、「ウ」音を含む音節が語頭に立つ場合には例外として”u”を表記することにした。例えば、”Tolanu Tanuki no Kawazanyȏ”(取らぬ狸の皮算用)”Manlui no Chance”(満塁のチャンス)Undȏkai(運動会)”Tonali no Uchi” (隣の家)”Suzshȋ”(涼しい)”Zȗzȗshȋ”(図々しい) 尚、音声学的には”u”表記の省略は母音の無声化の場合のみに行うべきかもしれない。しかし東京方言話者も、「アクセント核をになわない、無声子音の後に来る”u”が無声化する」などと云う音声学の原則を意識して発話しているわけではないので、表記上これを区別するのは、現行システムの「四つ仮名」より悪質な表記の複雑化を招きかねない。従って一律に”u”表記省略を原則とした。

          Д▲襯侫.戰奪班週を採用する場合、分かち書きの導入が必要かつ有益であろうと思われる。本レポート添付の文例では、名詞の最初の文字を大文字とし、名詞と助詞の間にスペースを設けることにした。文章の文法的構造を示すためには、本来は欧州語のように品詞ごとにスペースを入れて区切るのが明瞭であると思うが、この点は更に検討を要すると思う。

           漢語起源の単語には単純なアルファベット表記では意味の違いを表せないものがかなりある。例えば“Jinin”、これだけでは「人員」なのか「辞任」なのか皆目見当がつかない。このような場合には音節の区切りにはハイフンまたは中黒「・」を使用する。つまり「人員」”Jin-in”または”Jinin”,辞任は”Ji-nin”またはJi・nin”となる。このような例は「是認」「全員」、「死人」「真因」,「下人」「原因」など枚挙に暇がない。音節の切れ目を表す記号としては私は中黒の方が見た目には美しいと思うが、果たしてこれが英独仏 対応のキーボードに存在するかどうかで決めるしかない。

           

           

           

           

           

           

           

           



          [1] ボトムアップが一概に悪いわけではないが、ボトムアップはトップダウンに比べスピードが遅く責任の所在が不明確になる欠点がある。 

          日本語のアルファベット表記について その4

          0
            今回から新しい日本語のアルファベット表記案をご覧にいれる。
            従来のローマ字表記とは全く異なる原則によって作られている。
            本来美しく豊だった日本語の音声を、仮名50文字という狭苦しい牢獄から解放し、自由にその本来の姿を発現させることを目指した。
            尚、字母はアルファベット順に並べた。
            ブログのソフトの罫線処理能力の制限があるので、これから数回に分けることとし、今回はAからCまでである。

            日本語アルファベット表記案

             

            字母

            IPA記号

            備考

            a

            [a˗˔] [ɑ˖˔]

            前舌―後舌 広・半広 非円唇母音 「ア」音

            ȃ

            [a˗˔:] [ɑ˖˔:]

            同上長母音

            表記例

            漢字仮名表記

            Asita

            明日

            Ȃ ieba kȏ iu

            ああ云えば こう云う

            英語のように一つの母音字が多くの異なる母音の表記として使われるのは極めて不都合なことだと思う。日本語において「ア」音を表す母音字を”a”のみにすると、「ア」音にはそれに先行する子音が[n , t, d]のような口腔の前方を調音点とする子音の場合は[a]となり、口腔の深部を調音点とする子音に後続するときは[ɑ]となると云う2つの異なった音声があるので不都合のように思われ、Umlaut記号のようなものでこれらの違いを書き分けることも考えた。しかし、これら2つの微妙に異なる母音は、発話者が意識してその発音を変えているわけではなく、「ア」音を発音しようとして、その「ア」音のおかれた環境によって自然に微妙に異なった発音が行われているので書き分けの実益が殆どない。したがって“a”は [a] 及び [ɑ]という2つの異なった音声を表すこととなる。

             

            字母

            IPA記号

            備考

            b

            [b] [bʲ]  [β]

            両唇破裂音 有声音 「ビ」[1]「ベ」「バ」「ボ」「ブ」の子音部

            bj

            [bʲj]

            同上拗音 「ビェ」「ビャ」「ビョ」「ビュ」[2]の子音部

            表記例

            漢字仮名表記

            Shȏjikimono ga Baka o mil

            Bjakkotai

            正直者が馬鹿を見る

            白虎隊

             [1] 「ビ」音の口蓋化は意識して発音し分けているわけではないので正書法上書き分ける必要はないと思われる。

             [2] 城生1998によれば「ビェ」「ビャ」「ビョ」「ビュ」は外来語及び一部の劇画に現れるとのことだが、劇画のような作品には既存の表記法を乗り越える新鮮さがあってもよい。従ってこのような表記を正式に制定するのは果たして如何なものか?

            字母

            IPA記号

            備考

            h

             [ʨ]又は [ʧ] 

            歯茎硬口蓋破擦音 無声音「チ」及び「チァ」行子音部

            表記例

            漢字仮名表記

            Chanchala okashȋ

            チャンチャラおかしい

            Tadaima otolikomichȗ

            ただいまお取り込み中

             

            字母

            IPA記号

            備考

            [d,dʲ]

            歯音及び歯茎破裂音 有声音 「ディ」「デ」「ダ」「ド」の子音部

            dj

            [dʲj]

            「ディエ」「ディア」「ディオ」「デュ」の子音部

            表記例

            漢字仮名表記

              Daili Enjȏ-no Koto

            内裏炎上の事 (平家物語)



             シロフクロウ


            日本語のアルファベット表記について その5

            0
              今回は昨日に引き続き字母DからGまで。  


              字母

              IPA記号

              備考

              [d,dʲ]

              歯音及び歯茎破裂音 有声音 「ディ」「デ」「ダ」「ド」の子音部

              dj

              [dʲj]

              「ディエ」「ディア」「ディオ」「デュ」[1]の子音部

              表記例

              漢字仮名表記

                Daili Enjȏ-no Koto

              内裏炎上の事 (平家物語)

               

              字母

              IPA記号

              備考

              e

              [e˕]

              前舌 半狭―半広 非円唇母音「エ」音

              ȇ

              [e˕:]

              同上長母音

              表記例

              漢字仮名表記

              Migi e magatte kudasai

              Ȇ Kimochi yanȃ 

              Kaeeda  cf  Kaȇda

              右へ 曲がって下さい

              エー気持ちやなー(関西方言)

              枯れ枝 cf 「カレーだ」

               

              字母

              IPA記号

              備考

              [f]

              外来語表記に使用、必要なら擬声語や方言表記に留保

               

              字母

              IPA記号

              備考

              [ɡ] [ɡʲ][ɣ]

              軟口蓋破裂音 軟口蓋摩擦音 有声音「ガ」行子音の子音部

              gj

              ʲj]

              同上拗音「ギャ」「ギュ」「ギョ」

              表記例

              漢字仮名表記

              Kaigi ga hajimaimas

              Gjakten Manlui Home run

              会議が始まります

              逆転満塁ホームラン

               


              シロフクロウ


              日本語のアルファベット表記 その6

              0
                  

                字母

                IPA記号

                備考

                h

                [ç]

                硬口蓋摩擦音無声音 「ヒ」音の子音部

                 

                [h]

                声門摩擦音無声音「ハ」「ヘ」「ホ」の子音部

                 

                [ɦ]

                声門摩擦音有声音 弱有声化した「ご飯」の「ハ」などの子音部

                hj

                [ç]

                硬口蓋摩擦音 「ヒャ」行の子音部

                表記例

                漢字仮名表記

                Heiwa Kempȏ

                平和憲法

                Nihjakutȏka

                二百十日

                「ヒャ」音と「ヒ」音はhではなくçを使った方が音声学的にはすっきりすると思うのだが?

                 

                字母

                IPA記号

                備考

                i

                [i˕]

                前舌 狭―半狭 非円唇母音 「イ」音

                ȋ

                [i˕:]

                同上 長母音

                ï

                [ï]

                東北方言の「イ」音[1]

                表記例

                漢字仮名表記

                Ikadeka Koe omo kikade abeki

                いかでか声をも聞かであるべき、平家物語

                SevenEleven ȋkibn

                セブンイレブンいい気分

                 

                字母

                IPA記号

                備考

                j

                [ʥ]又は[ʤ]

                歯茎硬口蓋破擦音 「ジ」「ヂ」[2]「ジャ」行子音部

                j

                [ʑ]又は[ʒ]

                歯茎硬口蓋摩擦音「ン」の直後以外の「ジ」、「ジャ」行子音部

                表記例

                漢字仮名表記

                Jinji o tzkshite Tenmei o matz

                人事を尽くして天命を待つ

                Jamamono wa koose

                邪魔者は殺せ

                 

                字母

                IPA記号

                備考

                k

                [k] [kʲ]

                軟口蓋破裂音 「カ」行子音の子音部

                kj

                [kʲj]

                同上拗音 「キャ」行子音の子音部

                表記例

                漢字仮名表記

                Tonai no Kjak wa yok Kaki kȗ Kjak da

                Kooni  cf   Kȏni  

                隣の客はよく柿食う客だ

                小鬼 cf 高二

                 

                字母

                IPA記号

                備考

                l

                [ɾ] [ɾʲ]

                歯茎はじき音 有声音 「ラ」行子音部

                lj

                ʲj]

                同上拗音 有声音 「リャ」行子音部

                表記例

                漢字仮名表記

                Lippa na Hito

                立派な人

                Ljȗȋsȏ

                緑一色 (マージャンの役)

                従来日本語のローマ字表記ではラ行音をrで表していたが、日本語のラ行音は[r]でも[l]でもない。城生1998によれば最近英語などの影響によって若年層では[l]音(側面接近音)に近い発音をするものが増えてきたと言われる。


                シロフクロウ

                 



                [1] 方言の母音にUmlaut記号を使用する一つの例としてïを挙げた。文例はPhの部参照。

                [2] 「ジ」と「ヂ」は現代語では同じ音声であり、表記に違いを設ける実用的な意味はなく、語源を知らなくては表記ができないのは不便。


                日本語のアルファベット表記について その7

                0
                   ブログにはふさわしくない、込み入ったことばかり書き続け、読者の皆さまには申し訳ありません。もうしばらくの我慢です。


                  字母

                  IPA記号

                  備考

                  m

                  [m] [mʲ]

                  両唇鼻音有声音 「マ」行子音部

                  mj

                  [mʲj]

                  同上拗音有声音「ミャ」行子音部

                  表記例

                  漢字仮名表記

                  Ogolel Mono hisashikaaz

                  驕れる者久しからず

                  Shimbashieki no Samban Platform

                  新橋駅の三番ホーム

                  Mjȏhȏengekjȏ

                  妙法蓮華経

                  従来の表記法では「新橋駅の三番ホーム」だった。外来語の原語表記を採用すると最初一寸面倒くさくなる。しかし既に外来語である事実が風化してしまったような語はそのままでもよいだろう。メリヤス、カステラ、テンプラなどその例である。「ホーム」は?

                  字母

                  IPA記号

                  備考

                  n

                  [n]

                  歯音および歯茎鼻音 「ネ」「ナ」「ノ」「ヌ」の子音部

                   

                  [ɲ]

                  硬口蓋鼻音「ニ」の子音部

                   

                  [ŋ]

                  軟口蓋鼻音 「三界」と言う時のn

                   

                  [N]

                  口蓋垂鼻音「ン」

                  nj

                  [ɲ]

                  硬口蓋鼻音「ニャ」「ニュ」「ニョ」の子音部

                  表記例

                  漢字仮名表記

                  Shi-nin ni Kuchi nasi

                  死人に口なし

                  Sin-in kalakala to waawase tamai

                  新院 呵々と 笑はせ給ひ 雨月物語

                  Pon to kelja njan-to nak

                  ポンと蹴りゃ ニャンと鳴く

                  Un to unazk 又は “Un” to unazk

                  ウンとうなずく

                  「三階」、「三段」、「三」などの相補分布関係にある「ン」音、音声的には調音点が異なるが、話者が意識的に調音点を変えているわけではないので全てnで表記する、但し、三番、本箱など明らかに[m]両唇鼻音に聴こえるものについてはm表記がふさわしいと思われる。

                  字母

                  IPA記号

                  備考

                  o

                  [o˕]

                  後舌 半狭―半広 弱円唇母音「オ」音

                  ȏ

                  [o˕:]

                  長母音「オオ」現在「オウ」と表記されているものを含む

                  表記例

                  漢字仮名表記

                  ȏk Ichȏ o tobulau ni

                  遠く異朝をとぶらふに (平家物語)

                  Otȏsan 

                  お父さん

                  Ȏkami

                   

                   

                   

                  字母

                  IPA記号

                  備考

                  p

                  [p]

                  両唇破裂音無声音 「ピ」「ペ」「パ」「ポ」プ」子音部

                  pj

                  [pʲj

                  同上拗音 「ピェ」「ピャ」「ピョ」「ピュ」子音部

                  ph

                  [ɸ]

                  両唇摩擦音 「フィ」「フェ」「ファ」「フォ」「フ」子音部

                  phj

                  [ɸʲj

                  同上拗音「フィェ」「フィャ」「フィョ」「フィュ」子音部

                  表記例

                  漢字仮名表記

                  Pin-kala Kili-made

                  ピンからキリまで

                  Kome hjappjȏ

                  米百俵

                  Phuwalaidȏ

                  付和雷同

                  Phumiwo tamaite kotae tamau

                  ふみをたまひて、こたへ給ふ(松浦宮物語)

                  Phasïlï phabato

                  秋田地方方言「走り幅跳び」

                   






                  シロフクロウ


                  日本語のアルファベット表記について その9

                  0

                    字母

                    IPA記号

                    備考

                    u

                    ˕] 及び [u][1]

                    後舌・円唇・狭母音(沖縄西日本方言)及び

                    中舌よりの後舌・狭―半狭・非円唇母音(表記を

                    必要とする場合[2]にはそれ以外の方言でも表記する)

                    û

                    ˕:] 及び [u:] 

                    同上長母音

                    原則無表記

                    ˕]

                    中舌よりの後舌・狭―半狭・非円唇母音及び無声化した

                    「ウ」音(沖縄西日本方言以外)

                    表記例

                    漢字仮名表記

                    Unto benkjȏshite Shiken ni gȏkakshita

                    Jiyû wo aisl 

                    Z ȗzȗshȋ yatz

                    Phuzai Jinushi (u表記の必要なケース)

                    Report o kak (u表記不要なケース)

                    うんと勉強して試験に合格した

                    自由を愛する

                    図々しい奴

                    不在地主

                    レポートを書く

                     

                    字母

                    IPA記号

                    備考

                    v

                     

                    外来語表記に使用、必要なら擬声語や方言表記に留保

                     

                    字母

                    IPA記号

                    備考

                    w

                    [ɰ] [ɰʲ]又は[w][wʲ]

                    両唇接近音 「ワ」「ウィ」「ウェ」「ウォ」

                    wj

                    [ɰʲj]又は[wʲj]

                    同上拗音「ウィェ」「ウィァ」「ウィォ」「ウィゥ」[3]

                    表記例

                    漢字仮名表記

                    Kȏtzȗ Kisok wa mamolanakeleba nalanai

                    交通規則は守らなければならない



                    [1] [u]は九州西日本方言の「ウ」音

                    [2] 東京方言などで“u”の表記を要するのは、語頭音節に来る場合、二重母音、長母音、主として”n”の直後に来て意味の弁別に表記不可避な場合ということになる。

                    [3] 「ウィェ」「ウィァ」「ウィォ」「ウィゥ」6参照 

                    シロフクロウ

                    日本語のアルファベット表記について その10

                    0
                      今回で10回に分けてご覧戴いた「日本語のアルファベット表記について」を一旦終了する。

                      恐らく日本語が漢字+2種類の仮名文字という三種混合の表記を捨ててアルファベット
                      に変わることはないだろう。しかしせめて次の二つのことだけでも実現すると良いと思う。

                      それは:

                      1.現在の2種類のローマ字表記を、音声を忠実に現したアルファベット表記に改める。

                      2.カタカナを廃止して外来語はアルファベット表示とする。

                      である。

                      カタカナについては何故かと思われる方も多いだろう。日本語および英語教師としての経験
                      から申し上げて、カタカナは外国人の日本語習得の大きな障害になっており、一方日本人の外国語習得にも重大な支障を生じていることを知って驚いた。そのことはいずれ別の機会に申し上げよう。

                      次にいわゆるローマ字と私が主張するアルファベット表記の違いについて;


                      現在使われているいわゆるローマ字には訓令式とヘボン式がある。訓令式は「シ」を
                      siと評価し、「チ」をtiと表記する表記法である。ヘボン式では、それらはそれぞれ
                      SHI, Chiとなっており、は訓令式に比べれば音声的に優れている。
                      しかしこれとて日本語の音声を正確に現しているかと言えば極めて不完全。

                      つまり私が「日本語音声の牢獄」と呼んだ50音の体系に拘束されているからである。
                      私はこのようなアルファベット表記法をローマ字と呼び、仮名文字に縛られない音声
                      に基づいた表記法をアルファベット表記法と呼んで区別している。

                      実は上記訓令式、ヘボン式と呼ばれるローマ字表記のほかに、かなり優れた日本語のアルファベット表記が存在していたことがわかった。それらは戦国時代のキリシタン以来来日した
                      外国人が耳で聞いた当時の日本語の音声を、それぞれの母国語の表記方法の中でそれに
                      一番近い字母を宛てたアルファベット表記方法であった。

                      今回のレポートを学校に提出した後、これらを興味深く検討した。
                      それぞれ一長一短あったが、大変参考になった。
                      その時の知見をもとに、今回ご紹介した私のアルファベット表記法を一部改訂した。
                      それはいずれの機会に改めてご紹介しよう。


                      今回は10回にわたり込み入ったレポートに付き合っていただいたこと、深く御礼申し上げる。

                      願わくばこのブログのコメント欄を通じ(ペンネーム可)、またはメールにて忌憚ないご意見を賜れば幸甚である。

                      snowy_owl18@hotmail.co.jp


                      字母

                      IPA記号

                      備考

                      x

                       

                      外来語表記に使用、必要なら擬声語や方言表記に留保

                       

                      字母

                      IPA記号

                      備考

                      y

                      [j]

                      硬口蓋接近音 「ヤ」「ユ」「ヨ」子音部

                      表記例

                      漢字仮名表記

                      Yasai

                      野菜

                      Yoso no Uchi

                      よその家

                      Yuzliai no Sȇshin

                      譲り合いの精神

                       

                      字母

                      IPA記号

                      備考

                      z

                      [dz] [dzʲ]

                      [z] [zʲ]

                      歯音及び歯茎破擦音・摩擦音 「ゼ」「ザ」「ズ」「ヅ」「ゾ」「ズィ」

                      「ズェ」「ズァ」「ズォ」

                      zj

                      [dzʲj] [zʲj]

                      「ズィ」「ズィェ」「ズィァ」「ズィォ」「ズィュ」[1]

                      表記例

                      漢字仮名表記

                      Zuii (Zuȋではない)

                      随意

                      Zashiki

                      座敷

                      Suzshȋ (語頭音節のuは表記、語中音節では非表記の例)

                      涼しい

                      実験音声学的には破擦音摩擦音は峻別されるべきであるが、語頭と「ン」の直後以外は「座敷」[dzaɕiki]のように破擦音で、それ以外の位置では「涼しい」[sɯzɯɕi:]のように弱破擦音または限りなく摩擦音として発話するなどと話者は意識して使い分けているわけではない。同じ音を調音するつもりが、音声器官の構造上発話された音声が微妙に異なっているのだと考えられる。従ってこの二つは単一の表記にまとめることにした。音声学的に厳密であろうとすればzに加えてxを使って区別することも可能だが、これらを書き分けることにしたところで、書くのも読むのも厄介になるだけであろう。

                       

                      字母

                      IPA記号

                      備考

                       

                      促音で終わる擬声語擬態語の語尾

                      表記例

                      漢字仮名表記

                       Sju‘ sju po‘ po

                      シュッ シュッ ポッ ポッ

                       

                      日本語の主要方言に現れる母音とそれらのアルファベット表記 

                      城生198982ページには標準語になくて方言に存在している母音が12個列挙されている。そのうち沖縄西日本の「ウ」[u]及び、東北・出雲・沖縄の一部の「イ」[ȉ]については本レポートで表記法も取り上げたが、それ以外は取り上げるだけの知識がなかったので除外した。しかしその中の例えば長野県の一部で行われている「ア」は東京方言の「ア」がIPA[ɑ][a]の中間であるのに対し、はっきり[a]音であるなど、その特定の母音に対して表記上区別を敢えてしなくても問題ないようなものも存在する。今後心して各地の方言の音声を観察して行きたいが、この度は、戊辰戦争以来不当に扱われてきた東北地方の[ȉ]と(東北地方については子音[ɸ]も)、太平洋戦争で惨害を受けた沖縄の[u]のみに市民権を差し上げることで今回はご勘弁いただくことにした。

                       

                      日本語アルファベット表記例

                       

                      Kayô ni, Keichû Ajali no Kenkjû ni yotte,  “Iloha wa 47Moji ga subete kotogotok cigatta on o daihjôsite ita toiu koto ga, wakatte kimasita. Mae ni itta tôli,  47Moji nouci, Onaji on deal noga 3tz‘ alimashita.

                       

                      かように、契沖阿闇梨の研究によって「いろは」は四十七文字がすべて悉く違った音を代表していたということが解って来ました。前に言った通り、四十七文字の中、同じ音であるのが三つありました。                      橋本進吉 「古代国語の音韻について」より


                      GE wa Trading Process Network to yobalel System o kôciksi, Net jô de Sȇhin no Yôken o Shitei dekil yôni shita okagede, Kôbaiyosan o sûok Dallars sakgen dekita to nobeteil.

                       

                      GEはトレーディング・プロセス・ネットワークと呼ばれるシステムを構築し、ネット上で製品の要件を指定できるようにしたおかげで、購買予算を数億ドル削減できたと述べている。

                      フイリップ コトラー 「マーケッティング・コンセプト」 より

                       



                      [1] 「ズェ」「ズァ」「ズォ」「ズィ」「ズィェ」「ズィァ」「ズィォ」「ズィュ」注6参照


                      シロフクロウ


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                      人々もすなるブログといふものを、シロフクロウもしてみむとてするなり。 余は多摩動物公園に住まふシロフクロウなり。最近余をしげしげと訪ぬる男あり、写真機をたずさふ。この男余に名前を貸し賜へと請ふるにより余の名を貸したり。さてこそ余の見たる人の世の事々なれ。

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